[ネタバレ有]スパイダーマン: ノー・ウェイ・ホーム

日本公開初日に観てきました。仕事帰りの夜9時くらいに行ったんですが、やっぱり映画は朝イチがいいな・・

総評

ピーターは全てを失う。MJ とネッドは恋人と親友を失う。ハッピーは愛した人を失う。みんながピーターを失う。単体の映画としては成り立たず、2002年からスパイダーマンを観続けて来た方へのご褒美という点は、マトリックス・リザレクションズと似ています。特にアメイジング・スパイダーマンの扱いが良い。個人的には、スパイダーマンを孤独なヒーローに立ち返らせるための作品という印象で、鑑賞後いい気分にはなりませんでした。

『アメイジング・スパイダーマン』の登場シーンは最高

『アメイジング・スパイダーマン』のピーターである、アンドリュー・ガーフィールドの登場シーンは完璧でした。ポータルが開いたときに遠目で見える姿からマスクを取るまでの一連の動作が素晴らしい。劇場では拍手がおきていました。自己紹介してる場面も自然とニヤニヤしてしまいました。このシーンが一番盛り上がるところかも。

トビー・マグワイアの登場シーンは惜しい

『スパイダーマン』のトビー・マグワイアも程なく登場するんですが、もうちょっと溜めが欲しかったです。最初からマスクをしていないのは別の演出目的があったんですが、マスクしててもよかった。ポータルで呼び出してマスク取ったら「お前も違うんかーい!」みたいな天丼だと笑えたと思います。

トビー・マグワイアが年を重ねている理由が欲しい

トビー・マグワイアは時間的・キャリア的なブランクがあるので、当時の雰囲気と違う理由付けが欲しかったです。一応、ドクター・オクトパスが「大人になったな」と言ってくれたのと、本人が MJ との関係をほのめかしいましたが、リアルタイムで公開から20年経っているんでメタ的な演出してもOKだったと思います。

みんな個人的な都合で余計なことをする

キャラクターの行動がやんちゃすぎます。話し合う・強調する・受容する、といった合理的な行動をとれば何とかなりそうなのに、大局よりも個人の願望を実現してしまうことで、全体の迷惑になる。物語のテーマとしてはそれでもいいんですが、そういう行動を理解したり共感できない場合はモヤモヤした気持ちが残ると思います。

謎行動① サンドマンが敵対してくる

サンドマンはただ元の世界に帰れれば良かったわけで、「ピーターに協力する」か「何もしない」の2択でよかったはずです。彼の行動の謎は、初登場シーンではいきなりサポートに入ってくれて状況の理解も速かったのに、途中から突然IQが下がったように自分にメリットのない行動をとりはじめたことです。彼の場合は『スパイダーマン3』のタイムライン上のどこで召喚されても、別世界に来た状況が理解できればピーター側のメリットになるように行動するはずです。明確な敵意も感じなかったし、なんで攻撃してきたんでしょうか?『スパイダーマン』のピーターがいたから?

謎行動② ピーターが別世界の敵を救おうとする

約束された死の運命から全員を救おうとするのが、ピーターってこんなキャラだったっけ?と腑に落ちませんでした。元の世界と決められた運命を受け入れてもらうのが合理的だと考えるタイプだと思ってました。魔術より数学!って言ってるし。ヒーローのペルソナとしては正しいんですが、不安定な思考にみえるんですよね。これはおそらくピーターの「若さ」を表現していて、時間と経験にアドバンテージがあり、決定された未来のなかから1つを選んで世界を救ったドクター・ストレンジと対比させてるんだと思います。

ノーマン・オズボーンのフィジカルが強すぎる

グリーンゴブリンの人格でノーマンが殴るとスパイダーマンごと壁や床が抜けてるんですが、これはとんでもないですよ。『スパイダーマン』での戦闘はレンガ造りの建物内が多かったですが、今回は鉄筋コンクリなんです。しかもピーターからの攻撃でダメージが蓄積されてる感じなく、壁を殴っているかのようなタフネスです。これは原作とか更に別作品から来た別人なんじゃないか?と思うくらい異常に強かったです。そして、こいつだけにヘイトが溜まる展開になっているのに、悪かったのはもう一人の自分だから罰を与えられないという仕組み。

メイおばさんが救われない

メイおばさんの結末があまりに悲しく、あっけなく。キャラクターの意思や意味のある状況でああなったというより、脚本にとどめを刺されましたね。

他作のスパイダーマンが登場してからもしばらく劇場が盛り上がってたんですが、メイおばさんの件でお通夜モードとなり、ラストバトルの3スーツ揃い踏みでも歓声は上がらず。そのまま MCU 次元のキャラは誰も救われないエンド。一般的にはこれは受け入れられたのか?今後盛り上がるためのどん底の状態だと思いたいです。